幼馴染のツガイに情緒乱された⑥
倒れたフクロウが意識を取り戻すと、目の前にはフラミンゴがいた。
「波留、良かった……!目が覚めて……」
「波留……?本名で呼ぶのは、禁止されてたんじゃ……?」
「今は誰もいないから、いいと思うの」
「良かった......!」の声に色々な感情がこもっているのが何とも。
そして「今は誰もいないから、いいと思うの」という言葉、とても刺さる。
倒れた親友に安心したこと、心配したことをフクロウ、いや、「波留」に伝えたかったフラミンゴの心境が表れているのだ。
……あれ、待てよ……フクロウの本名が波留?そんな情報どこにあったんだ……?
※当時の私の動きを再現したもの
あった。
始めた時に確認して以来だったのですっかり忘れていた。というか体重も記されているのか。155cmで44kg……ちいかわ……(違う)。
......えぇと、私の確認不足は忘れてほしい。
迷惑かけちゃった、と嘆くフクロウを宥めながら、フラミンゴは語りかける。
「迷惑じゃないから、今はなにも考えずに休んで。副司令も、しばらく任務を休んでいいって言ってたよ」
「あのねフクロウ。考えてたんだけど、ワタシたち他に異動しない?」
フラミンゴはフクロウに対して怒るでも、悲しむでもなく、諭すように話しかけている。これは、自分の気持ちよりも相手を想っていることの現れではないだろうか。
しかしフクロウは、どこに行っても「ギフト」のせいで忘れることはできない、だから眠ることもできないと塞ぎ込み、その上「自分に価値はない」と卑下する。
「そんなことないってば!」
「そんなことあるよ……っ!フラミンゴには私の気持ち、わからないよっ!」
声を荒らげる2人。フラミンゴは言葉に詰まるが、悲しそうに、悔しそうにこう続ける。
「ワタシだってフラミンゴの見ている世界を理解したいよ。でも、ワタシにはできないから……」
うわーーー!!つれぇよーーー!!
したいけどできない、その無力感に抱く悔しさは想像もできない。
それも大切な人にできないのだから、フラミンゴの心情を思うと辛くて辛くて……。
涙でべっちょべちょになってる私に、更なるコンボが積み重なる。
「……っ!ごめん……ごめん、フラミンゴ!私、今ひどいこと言った……!でも、今の私、ほんとにダメで……悪いけど、ひとりにしてくれないかな……?」
「……うん、ワタシもごめんね、少し落ち着く。また来るからゆっくり休んでね、フクロウ」
うっ......ぐすっ......見てくださいよ、この、美しい絆をっ......。
①自分の非を認め、②謝り、③お互い冷静になる時間を取る。
相手を心の底から信用していないとできないことです、ほんと。
それにしても辛い、辛い……。始末書をため込んだハチドリがオチでよかった。でないと一生、3節1話から進めなくなるところだった。ありがとう、ハチドリ。
※第1章 3部 3節 1話より。かわいい。
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